2022/09/22
高齢者の就労状況を見ながら
皆様、台風は大丈夫でしたか?残念ながら死者も出てしまい、各地で停電や水害もひどかったようですね。被害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。今回の台風、福岡では特に吹き返しの雨風が長引いたように感じました。会社のほうは社員の方々が準備を整えていただき、大きな被害を受けることもありませんでした。一安心です。
私は後半の二日間は自宅から出ることもせず、荒れた天気を見ながら本と映画三昧。有難い時間だったのですが、映画を観すぎて少々疲れ気味。やはり外に出て体を動かすことも大事です。
一方、連休中に新聞にも少々気になる記事がありました。敬老の日を前にということだったようで、65歳以上の方々の就労状況に触れられたものでした。高齢者の就労人口は年々増加しており2020年度では906万人とのこと。65歳以上の4人に1人は何らかの仕事をされていることになります。印象としては「結構多いな・・」というものでした。欧米よりも高齢者の就労率は高いようです。
もちろん、病気など何らかの理由で仕事に就けない、仕事をしていない高齢の方もおられると思います。例えば認知症の方々の多くはそうかもしれません。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、同時期である2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は約600万人となっています。そうすると、65歳以上の人口は約3,600万人ですから、3人に1人程度が就労されていることになるでしょうか。いろいろ考えると65歳以上の就労者の割合はもっと高いのかもしれません。(もちろん認知症の方で就労されている方もおいでになると思います。認知症と診断されて精神障がい者保健福祉手帳を取得できれば、障がい者として一般企業などの障がい者雇用枠の求人に応募することができます。)
見方を変えると、それだけ多くの高齢者が仕事をされているにもかかわらず、国内の多くの産業では「労働力不足」が叫ばれているのはご承知の通りです。介護の業界などはその最たるものですよね。年をとっても元気なうちは働くということ、それ自体は非常に良いことだと思いますし、自分もそうありたいと思っています。しかしながら、国の将来を見据えたときに高齢者に就労を求めることや、外国の方々に頼ってしまうことばかりが重要視されてしまうと、この国はどうなっていくのか疑問や不安が頭を過ります。やはり子供たちが増えていかないと活気も削がれていく。少子化対策はこの国にとって一番重要な政策ではないかと思えてなりません。
現在、住民税非課税世帯(低所得世帯)への5万円給付などが進められているところです。円安や物価高騰への対応、或いは時世を背景とした防衛費の在り方などをはじめとして、多くの点で対応が求められていることは否定する考えはないのですが、中長期的な、もっと具体的な少子化対策への取り組みは一層議論されてもよいのではないかと思えてなりません。
何をすればよいのか。様々な要素があるとは思いますが、例えば、新生児1人あたりに就学支援までを視野に入れたような高額の祝い金を給付する等はどうなのでしょうか。現在の年間出生数が約80万人。仮にこれを1.5倍の120万人になったら良いな・・とした場合、1人につき、これも仮に500万円だとすると年間約6兆円の給付額で年間国家予算の5~6%程度となります。2人が生まれた家庭には合計1,000万円。少ないですかね?年間予算が100兆円を超える中、様々な分野で配分や使い方に手を入れていけば財源は確保できるように思えます。「貰った、貰っていない」「そんなのは不公平だ」等といった意見がたくさん出てくることは容易に想像できますが、こんな発想や議論があっても良いのにと。個人的にはこの議論は「あり」なのですが、もちろん的を外しているかもしれませんので、まあ、あくまでも素人の考えだと思って見過ごしてください。
先日、うちの母親がボヤいていました。年金が減った、医療費負担が増えた、高齢者いじめだと。私にしてみれば何ら不思議はない動きですから聞き流していました。酒の席であればこれまでと同様に必ずけんかになっていたでしょう。高齢者の生活環境も厳しくなっているのも事実だと思います。ただ、政策がそこに引きずられ過ぎていないか。支えている現役世代の負担が増え続けていることや若年層までの人口そのものが減少していることはもっと大きな問題であるように思います。このまま時間だけが過ぎていけばどうなるのか。特に若い世代にはこれまでにも増して魅力のない、生きづらい国になってしまわないかと。もう既にそうなっているのかもしれません。皆さんはどう思われますか。